2019年12月25日

誕生日に何か書いてみる。その28(終)

■コーネル兄さん脳内図解

オ『…俺、その他か…?』

第二十八回目は

「悪魔城ドラキュラ黙示録外伝 Legend of Cornell」

1999(平成11)年12月25日(土)、今年で20周年です。

同年3月の「黙示録」から、一年も経たずに発売された 完全版 続編。
各素材等流用されている部分は多く、手抜きと見られがちな点もあるものの、実際には非常に細部にわたって修正・改善・調整が施されており、「たぶん、スタッフはもともとこういう雰囲気を目指していたんだろうなあ」と思えるくらい、やってみると結構印象に違いがあります。
感覚的な面で言うと、空気が違うというか、「黙示録」は割とはっちゃけた感じがするけれども、こちらはものすごく落ち着いた雰囲気が漂っている感じ。
もちろん、どちらが良い悪いの話ではありませんし、個人的にはどちらの雰囲気も気に入っています。

そして「人狼の力を持ち、自らの身体を武器に戦う、線の細いクールな シスコンお兄ちゃん 二枚目」という「悪魔城ドラキュラ」らしからぬ主人公や、ベルモンド家も聖なるムチもコーネル編では一切話題にならなかったり、シナリオとしても(分かり切っているとはいえ)なかなかの後味の悪さを見せる(※)など、かなり思い切った方向性を打ち出してきた印象。
このあたりの理由から「黙示録2」ではなく「外伝」としたということもたぶんあるだろうし、流用部分にばかり目や意識がいってしまいがちだけれども、目立たない部分(?)ではかなり大胆な挑戦をしていたんだなあ…と今更ながらに思う。

(※)例の禁呪術に関してだけで、コーネルとエイダに関しては、たくさんのものを失いつつも未来への希望も感じられるような、丁寧に描かれたハッピーエンドではあると思う。
ご都合主義丸出しのライの字やあんまり報われないキャリーさんとは違って。

難点…というか、残念だったのは後半ステージの間延び感ですかね。
初プレイの際も「何か引き延ばされてね?」と思ったし、後でラインハルト編とキャリー編をやったときに、構成もまったく同じだったからそれで余計に悪い印象がついてしまった…。
同じステージでも、たとえばステージを左右反転させたりするだけでも印象は結構変わったような気がする。
…まあ、そう思ってしまうのもそれまでのコーネル専用ステージが独特で面白かったからなんだけれども。

−−−−−

ウワサでは三作目の予定もあったということでしたが、「黙示録」のあとでまた何かがあるとも考えづらいし(数百年後とかなら分かりませんが)、「黙示録外伝」よりもっと前にさかのぼって、ミハイル・シュナイダーやキャリー両親の過去が紐解かれることになっていたのかもしれない。
あるいはついにあのボツキャラクターが…! なんて可能性もあったのかもしれない。

一応完結しているとはいえ、まだまだよく分かっていない部分も残されていますし、もっといろいろなストーリーに触れてみたかったものです。

同期のシリーズ作品など(再掲)+あとがき

2019年12月22日

誕生日に何か書いてみる。その27

「脅威のビジュアル」「ハイ・クオリティ・サウンド」に偽りなし。

第二十七回目は

「悪魔城伝説」

1989(平成1)年12月22日(金)、今年で30周年です。

「悪魔城伝説」といえばやはりVRC6。
ハードの性能に満足せず、独自にチップ開発を行ったり、音に対する異様なまでの愛が高じてついには音源まで拡張させてしまうという、へんなこだわり(褒め言葉)が魅力だったコナミの真骨頂とでもいうべき存在。
「4音が6音になるくらい何だ」とたかをくくっていた愚か者どもは、その恐るべき音色に驚愕し、次々にコナミの前にひざまずきひれ伏したという(予想)
…とまあ、このくらい書いても決して過言ではないくらいに変態的な代物であり、この衝撃を体験した当時のファミコンゲーマーでコナミを崇めなかった者などいるのだろうか? いやいまい(断言)

音源を拡張したところで、曲自体がダメダメだったら宝の持ち腐れだったところだけれども、曲がまた全曲名曲と言ってもいいくらいにレベルが激高い。
「悪魔城伝説」と「グラディウスIII(AC)」は個人的にコナミ最高峰と思っているし、今でもよく聴いていたりするほどに何度聴いても飽きない。
昔のコナミの曲はすべてがそのくらいのレベルにあるけれども、この二作はその中でも特に素晴らしい。
音源拡張も、曲に自信があるからこそ思い立ったんだろうなあ…。

VRC6の威力は曲だけにとどまらず、キャラクターを見失うレベルで動きまくる時計台の背景や、しばらく立ち止まって眺めていたくなるほど綺麗な霧や滝の表現、下からじわじわと押し寄せてくる水、デカい敵がチラツキもなく動き回る等、他社では考えられないような演出とアイデアが惜しげもなく詰め込まれており、しかもそれがjpg画像数枚程度(512kbyte)に収まっているというのだからなんとも変態だ。
特に「滝に氷の魔法を放つと一瞬にして全体が凍り付く」なんて、一体どんな異世界の技術を使っているんだと思うくらいに実に変態だ。
もちろんそれらは「ゲームが面白い」という基本を踏まえた上に備わっているのは言うまでもない。

とにかく感じられるのはスタッフの熱意と愛 と変態度 であり、「今ある力をすべて出し切って、最高のものを作る」という意気込みと、ゲームに対する真摯な姿勢をひしひしと感じる。
わずか6作目にして文字通り「伝説」を作った、ファン必携の会心の一作。
ファミコン世代でないと決して100%は伝わらないであろうことがとてももどかしいけれども、たとえそれらの魅力を外したとしても、アクションゲームとしてのその素晴らしい出来はきっと幅広い世代に受け入れられるものと確信する。
超難しいけど。

「悪魔城伝説」に携わったすべてのスタッフに、敬礼。

同期のシリーズ作品など(再掲)

2019年12月16日

誕生日に何か書いてみる。その26

悪魔城GoW風巨像添え(パズルもあるよ)

第二十六回目は

「Castlevania Lords of Shadow」

2010(平成22)年12月16日(木)、今年で9周年です。

全ての設定をリセットして、新たな伝説として始まった「Lords of Shadow」サーガ渾身の第一作目。
海外のデベロッパーへ 丸投げ 委託という件も、「どのみちシリーズ自体海外の方が注目されているんだし、そっちの価値観や思考をメインにしたほうがいいんじゃね?」という気は前々からしていたので、なるべくしてなったという感じ。

個人的には「買う前」「進行時」「その後」でこの作品に対する印象がめまぐるしく変化した、とても奇妙な存在でした。
最初の頃はあまり興味が持てなかったし、やっている最中も「これは面白いのか?」と疑問だったし、そのせいでストーリーもまるで頭に入ってこなかったし(そもそもが分かりづらい)、エピローグはこれまでの努力を全部無にされた気分だったし…。
まあ、この辺も日本と海外の感性の差なのかもしれない。
(海外だとダークヒーローもの(?)とか割と多くあるしね)

面白さを感じにくい原因としては、「敵の攻撃がわかりづらい」のと「ブロック(ガード)のタイミングがかなりシビア」なのがたぶん大きい。
感覚的には常時マーカーの出ないQTEみたいなもんだし、気を張ってシンクロブロックなんか狙うよりもごろごろ転がってた方がはるかにラクで安全。

でも実はシンクロブロックがどれだけできるかが面白さの大きな分かれ目だったりする。

100%ではないものの、数々のシステムはシンクロブロックを起点に組み上げられていくため、使えないと「ごろごろ転がりながらちまちまと削っていく」だけのしょっぱいゲームになってしまう…。
つまらないと思っている人はだいたいこの戦法がメインになっているハズ。

どの敵にも「ここ」というブロックポイントがあって、それを覚えれば面白いように反撃が決まるのだけれども、相当やりこまなければまず無理な程度にはタイミングがとてもシビア。
だから一回通しでクリアした程度じゃ敵が硬いばっかりでバランスの悪い出来としか感じないと思うし、前述の通りストーリーも変に回りくどいせいでチンプンカンプン。
そしてエピローグがアレなもんだからまた最初からやってみようなんて気にもなりにくい。
一応、それを補完するDLCをやればモヤモヤしていた部分は多少晴れるんですけど、そのエピローグに繋がる重要なシナリオが日本未配信っていうのがトドメを刺した感じ。

ちなみに自分の場合だと、海外版も含めて全体を5回くらい通して、ようやくスタッフが意図したであろう楽しみ方に気づいてきたところ。
そのくらいやればきっと叩いて転がるローリングゲーとは違う側面が見えてくると思いますよ。
保証はしませんけど。
…っていうか、難易度ごとに敵のモーションとかシンクロブロックの猶予時間を変えるとかすれば、もっと楽しさに気づいてもらえたと思うんですけどね…。

できることならば、LoS三部作(もちろんDLCも全部入り)をまとめてPS4かSteam辺りで出してくれないかなあ。

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2019年12月04日

誕生日に何か書いてみる。その25

とりあえずクリアタイム1時間未満のヤツラは全員殴りたい。

第二十五回目は

「Castlevania Lords of Shadow 宿命の魔鏡 HD EDITION」

2013(平成25)年12月4日(水)、今年で6周年です。

Nintendo3DS版の同作をHD化し、ちょこっと修正や追加を施してプレイステーション3とXBOX360へ移植した、ダウンロード専売ソフト。

この手のHD移植というと、大抵は新ステージとか新キャラクターとか新ナントカとか追加されるのが当然みたいな風潮がありますが、値段を考えればこの程度でも妥当なのかなあ。
個人的には、3000円くらい(相場は知らない)まで値段が上がっても構わないから、イベントシーンも全部ゲーム中のキャラクターで見てみたかった。
元はあれはあれで好きなので、オプションで選択できるようにしてくれればなお嬉しい。
逆に、ゲーム全体をあのタッチにするのも面白いかも。

同じく、QTEも選択制にしてほしかった。
3DSのときは面倒くさい気がしていたものの、なくなるとちょっと寂しい。
内容も、失敗→やり直しのループじゃなくて、成功すれば格好よく決められて、失敗するとちょっと残念な結果(でもそのまま進む)になれば楽しいんじゃないかと思う。
成否によってダメージ受けたり入手XPが変わるとかね。

その他細かい部分ですが、ランキング実装のせいか、リスタートするたびにクリアタイムがリセットされてしまうのは不満。
個人的には何周もして時間がどんどん積み重ねられていく自己満足感が好きなので、トータルとプレイ時間は分けてほしかった。
ついでにリスタートの際には、マップ・レベル・宝箱・巻物を任意で維持/リセット選択できるともっと良かったのに。

「○○の場所からやり直したい」と思うことが結構多いし、せめて幕ごとにでも最初からやり直せるようになっていれば嬉しかったんですけどねー。
内容的にはほぼ文句はないので、こうした細かい部分が便利になっていれば満点レベルでした。
この系統も、できればもう1〜2作くらい見てみたかったなあ…。

−−−−−

つい先月、ふとHDDをSSDに換えたい病を発症(今更?)した際、「そういや魔鏡HDのプチフリは少しは改善されるのかね?」と思ったので久しぶりに通しでやり直してみたところ、まったく発生しなくなっていてちょっと感動した次第。
それ以外のロード時間については体感できるほどじゃない感じですけど。
ただ、「LoS2」では読み込み中の魔法陣(?)マークの表示が明らかに短くなっていたので、早くなったのは間違いないと思う。
…というか、早くなってくれなきゃ何のために丸一週間もかけて入れ直したんだって話ですが。

同期のシリーズ作品など(再掲)

2019年11月27日

誕生日に何か書いてみる。その24



リ「…どういうことだ? アルカード」
ア『い、いや違う! これは俺だけど俺じゃないというか…』
リ「ほお〜〜〜ぅ」
ア『待て! 笑顔でバンパイアキラーを構えるのはよせ!』

第二十四回目は

「悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲(ダークナイト プレリュード)」

1997(平成9)年11月27日(木)、今年で22周年です。

「悪魔城ドラキュラ」シリーズの中ではダントツでドベ、ゲームボーイのアクションゲームとしても下から数えたほうが早そうな圧倒的低クオリティ。
そして、シリーズの基盤となるバックストーリーを根底からひっくり返したうえに、マントル級の大穴をあけたトンデモシナリオ。
多少の設定の矛盾はあれど、今もなお語り継がれるほどの名作「月下の夜想曲」の次作がどうしてこうなった…。

でも、前々から言っていますが、個人的にはそれほど嫌いな作品ではありません。
ネタでも嫌味でもなく至ってマジメに。
発売直後にほとんど定価で買ったことも、一日でクリア、二日で完全クリアして呆然としたこともそんなには気にしていない(嫌味)

「悪魔城ドラキュラ」には、もともとすごいストーリーもあっと驚く展開も求められていなかったのだから(アクションゲームの演出としての驚く展開はもちろん別)、アクションがそこそこ熱い出来であれば「ストーリーはク○だけど、遊べたからまあいいか。ストーリーは○ソだけど」で収まっていたような気がする。
設定の矛盾や破綻などは別に今に始まったことじゃないし、それぞれの関係性だって厳密に遵守されていたわけじゃないしね。

…しかしまあ、コナミ伝統の歴史ある「悪魔城ドラキュラ」がこの内容のこの出来で、誰一人「これはヤバいぞ…」と中止か改善を求めなかったのはある意味すごいというか何というか。
いくら名古屋に丸投げしたとはいえ、こういうのって普通、最終的に本社の誰かが品質チェックとかするもんじゃないのかなあ?
もし自分がその担当だったら絶対投げ返したと思いますけど。
(会社の事情とか大人の都合とかの裏の話なんか知らん)
まず間違いなくステージ1の半分くらいで「ちょっと待て」ってなるし、ベルモンドとドラキュラの因縁の始まりとかアルカードがゴニョゴニョとか言い出したら正座で一日「悪魔城伝説」やらせると思う。
パワハラ? 違うこれは教育だ。

…と、いうように、書けば結局文句と嫌味だらけになるのだけれども、繰り返すように嫌いではないのです。本当の本当に。
とりあえず、死神のデザインさえ猛省してくれれば個人的にはそれだけでいい。
根底に、作り手側の姿勢としてやる気はあった(けれども技術とセンスが絶望的になかった)のが分かるから。
逆にほぼ100%丸投げされたうえに責任もすべて負わされたような雰囲気もあって(真相は知らない)、今となっては名古屋スタッフに同情すらする。

望むべくは、スタッフのこの経験が次の作品への糧になったことを願う…。

同期のシリーズ作品など(再掲)+おまけ